Marion Sicotがドーピングを行ってからセクハラ被害により情状酌量されるまでの経緯

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画像:Getty Images

2019年にドーピングの容疑をかけられ、4年の出場停止を課されたフランス人女性ライダーのMarion Sicotが、情状酌量されるまでの一連の騒動をまとめてみた。

 

www.settsuxan.com

 

情報源:Marion Sicot admits using EPO, alleges abuse at Doltcini-Van Eyck | Cyclingnews

           :Marion Sicot: 'Justice was done' in reduced two-year doping suspension | Cyclingnews

 

 

2019年のドーピング裁定

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画像:Getty Images

事の発端は、2019年6月27日に開催されたフランスのタイムトライアル選手権でのこと。

 

 

その際に行われたドーピング検査でEPOが検出されたことから、Doltcini-Van Eyck所属のMarion Sicotにドーピングの容疑が掛かった。

(EPOとはエリスロポエチンと呼ばれるもので、体内に注入すると血中の赤血球の産生を促進させる効果があり、持久力の上昇が見込める。かつてツール・ド・フランスを7度総合優勝したランス・アームストロングもこれを使用していた。)

 

 

Sicotは、「自身が月経周期中であったためEPO値が上昇した。」と反論したが、その後のBサンプルでも基準値以上の検出。暫定的に4年間の出場停止が課された。

 

 

その後、Stade2の独占インタビューでEPOの薬剤を受け取ったと認めた

 

 

セクハラとドーピング

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ドーピングを認めたSicotであったが、4年の出場停止には待ったをかけた。

 

 

Sicotによると、自分は所属チームのDoltcini-Van Eyckのチームディレクター(監督)であるMarc Brackeによる心理的嫌がらせによってドーピングに手を染めた、という。

 

 

Brackeは、Sicotを含む2人の女性選手にストリングビキニ姿で前後の角度から写真を毎週月曜日に送れと要求したとされている。

また、彼女が結婚しているか、ボーイフレンドまたはガールフレンドがいるか、一人で寝ているか、彼の家で夜を過ごす招待状など、性差別的またはほのめかしのコメントの例もあったという。

 

 

Sicotは、

 

"I deserve to have a sanction but I would like to have a light sentence due to the circumstances with my sports director. It wasn't the real Marion who did that

私は制裁を受けるに値するが、件の事情により軽い判決を求める。それをしたのは本物のマリオンではなかった

 

とコメントし、情状酌量を求めた。

 

 

チームとBrackeの反論

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画像:いらすとや

チーム側はこの訴えに対して反論を述べた。

 

"We do have the right to expect a professional attitude from our riders and returning after the winter with a lot of overweight is not exactly that, especially if you claim to be a rider for the climbs,"

私たちはライダーにプロの仕事を期待する権利があり、シーズンインに太りすぎて戻ってくることは、特に彼女がクライマーである場合は、良いことではない。

 

"It is in this context that the sports director Marc Bracke made the mistake (and he doesn’t lie about it, he admits is) to ask for photos to follow the progression of her condition/overweight. This is a practice that was normal in earlier times. Many people inside cycling know that. And it happened far less often than Marion Sicot now claims.

こういった文脈で、チームディレクターのMarc Brackeは、彼女の体型の状態追跡をするために写真を要求するという間違いを犯しました(彼はそれについて認めています)。これは正常な習慣であり、サイクリングを生業にする多くの人々はそれを知っています。また写真の要求はMarion Sicotが主張しているよりもはるかに少ない頻度で起こりました。

 

"She has never complained about this and she never mentioned it to other riders or other staff-members (including several women, we try to have many women in our staff). If she would have said one single time she felt uncomfortable about this it would never have happened again."

彼女はこれについて不平を言ったことはなく、他のライダーや他のスタッフ(数人の女性を含む、私たちはスタッフに多くの女性を入れるようにしています)にそれについて言及したことはありません。彼女が一度だけこれについて不快に感じたと言えば、それは二度と起こらなかっただろう。

 

 

Brackeは、

 

"For professional reasons, yes, but only the legs. I am not interested in pictures of women in underwear,"

専門的な理由で、足だけです。私は下着を着た女性の写真には興味がありません。

 

と完全に否定した。

 

 

情状酌量へ

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この件はUCI倫理委員会に提出され、その結果Marion Sicotの罰則が4年間から2年間に出場停止処分が減刑された。

 

 

Sicotの弁護士は、

 

"[Marion Sicot] is relieved and happy to see that justice was done. Every athlete knows how incredibly hard it is to reduce or overturn a doping sanction, where the standard 4-year ban is so often applied, irrespective of any circumstances,"

彼女は正義が行われたことを見て安心し、喜んでいます。すべてのアスリートは、状況に関係なく4年間の出場停止処分が頻繁に適用されるドーピング制裁を、緩和させることがいかに難しいかを知っています。

 

"This is why this decision is a rare one - and good news for all athletes,"

この決定がまれな理由であり、すべてのアスリートにとって朗報です。

 

とSicotに代わり、喜びのコメントを残した。

 

 

このニュースについて私のコメント

この件はなかなか面白いというか、難しいニュースだと思う。

 

 

もちろんセクハラ男が成敗されたと考えれば良いことなのかもしれないが、近年のフェミニズム的な世間の目に負けたというひねくれた見方もできる。

チーム側の声明でも、Me too運動を使って自分の減刑を求めたと非難している。

 

 

でも、チーム側も胡散臭い。自転車の本場のベルギーでも女性プロチームというものは規模が小さく、日本のプロチームと同等かそれ以下であると思える。

その規模のチームでわざわざビキニでの写真を求めたわけで、うーん。

 

 

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